テスラの低価格コンパクトEV戦略
発売時期と想定価格
テスラは2025年前半までに新たな低価格モデルの生産開始を計画しています。
2025年前半の生産開始予定だが、トランプ政権の関税により、計画は2026年まで遅れるか?(メキシコ工場の建設が停止しており、アメリカまたはインド等で生産される可能性?)→テキサス州オースティンで先行開発する方針へ切り替えました
イーロン・マスクCEOは2024年初めの決算で「より手頃な価格の新モデルを含む新車の計画は2025年前半の生産開始に向け予定通り進行中」と述べており、内部計画でも2025年中頃(6月頃)から量産体制に入る目標が示されています。価格について公式に明言はありませんが、社内プロジェクト名「Redwood」(仮称モデルQ)の目標は補助金適用後で3万ドル未満とされ、米国での補助金なしの想定ベース価格は約3万ドル(約400万円)前後と見込まれています。これは現行モデル3(米国価格約4.25万ドル)より大幅に安く、各国のEV補助金を考慮すれば日本円で300万円台前半も視野に入る価格帯です。
バッテリーとプラットフォーム構想(Generation 3)
新コンパクトEVはテスラの「第3世代」車両プラットフォームを採用し、大幅なコスト削減と効率化が図られます。テスラは2023年の投資家向けイベントで、この次世代プラットフォームによりモデル3/Yの約半分のコストで車両を生産できると述べ、製造プロセスを抜本的に見直す「アンボックスド工程(Unboxed Process)」によって工場面積も半減できるとしています。パワートレインについても、レアアースフリーの新型モーターやコントローラの内製化により駆動ユニットコストを約1000ドルまで下げる目標が示されています。
- 安価なLFPバッテリーを本格採用する
バッテリーは廉価モデルとしてリン酸鉄リチウム(LFP)電池を本格採用する計画で、2023年のマスタープラン発表でもコンパクト車へのLFP採用が明言されました。実際、中国メディア報道によれば次世代車は標準モデルで約53kWhのLFP電池、航続延長モデルで約75kWhのLFP電池を搭載し、一充電あたり最大500km程度の走行が可能になる見込みです。これは車体をモデル3比で15%小型・30%軽量化することで、比較的小さい電池容量でも既存モデル並みの航続距離を確保しようとする狙いです。加えて48Vアーキテクチャの採用や部品点数削減、大型鋳造パーツの活用(ギガプレス)など、テスラが培った技術を総動員してコストパフォーマンスを高めると見られます。
製造拠点と生産計画
生産体制もグローバル展開を見据えています。まず北米ではテキサス州オースティン工場で2025年半ばに生産開始予定と伝えられ、量産初期から週1万台ペース(年間約50万台)の生産を目標に据えている模様です。テスラは当初、2023年に発表したメキシコ新工場で次世代車を製造するとしていましたが、熟練エンジニアの多いテキサスで先行開発する方針に切り替えた経緯があります。
- 上海の既存ラインを活用して2026年にも生産を開始する計画
- 米国ではテキサス州オースティン工場で2025年半ばに先行生産予定
- モデルYのラインと部品を流用する戦略(低コストなモデルY)
一方、中国市場向けにも上海の既存ラインを活用して2026年にも生産を開始する計画で、現地でのコスト競争力強化を図ります。欧州市場でもドイツ(ベルリン)工場などで追って現地生産すると報じられています。新モデルの生産にあたっては既存モデルYのラインと部品を流用する戦略が取られ、刷新版モデルY比で製造コスト20%以上削減という具体的な目標値も示されています。実際、メキシコ向けモデル3で内装簡略化により約4000ドルのコスト低減を実現した実績があり、新型コンパクトEVでも部品共通化と簡素化によるスケールメリットを最大限追求する構えです。これらによりテスラは低価格帯でも利益を確保しつつ大規模生産が可能な体制を築こうとしています。